組織改変

組織改変について

私たちは2002年9月にメジロスタジオを設立し、建築設計活動を11年に渡り展開してきた。また、2010年4月より、まちづくりや地域マネジメントの活動をリライトデベロップメントとして併走させてきた。そして12年目を迎える今、私たちはこれまでの活動の系譜をふまえ、名称を「リライトデベロップメント」へ統合し、多様化する社会の諸問題へ的確にアプローチしていく為の組織改編を行う。

目指す組織像

なぜ新しい組織形態を模索するのか?

私たちは建築家、デザイナー、編集者、研究者、経営コンサルタントなど、それぞれ異なる分野で活動していたメンバーが集まったチームである。それぞれの専門領域を横断させ、社会の多様なテーマに応答することを目的としている。

高度な専門性が求められる知識集約型の産業においては、往々にしてその技能に特化した組織が形成される。そして、その専門性を保持しながら組織を拡大していった場合、かえってイノベーションが生まれづらい組織になってしまうことが指摘されている。知識集約型産業のような、構成人員の労働力に対する依存度が高い、労働集約型産業に類する組織が、成長する上でかならず陥るジレンマなのである。私たちはこのジレンマを解消する為に、各専門領域が独立しながらも互いに干渉し合う、領域間ネットワークを構成する運営体を目指したいと考えている。

このような組織像は、かつてP.F.ドラッガーやC.ハンディらが提唱した、組織の理想形態の一つである分権型組織及び連邦型組織を、現代的に解釈したものだと考えている。彼らの指摘によれば、これらの組織形態のメリットとは、各事業部が独立した上で組織の目標を共有することで生まれる、生産効率の向上及び企業価値の向上である。

社会の動きに反応する

私たちが目指す運営体は、専門性に裏打ちされた事業部のネットワークにより構成される。個々の事業部は、その専門領域に応じてそれぞれがマーケットとサービスを持つ独立した事業体であり、経営上の依存関係や、階層的なヒエラルキーに回収されないという特徴がある。

また私たちは、各事業体の構成員をやみくもに増員していくような直線的な成長モデルではなく、構成員の充実とともに、参与する事業体自体を増やし、ネットワークに厚みをつけ、関係性の密度を高めていくような複合的な成長モデルを志向している。ネットワークの網目を補填し合うことで、社会の様々な事象に応答していくような成長イメージである。このような運営体を実践する為には、個々の事業体に対する良質な「人材の確保」と、組織全体への「自己批判回路の作用」が欠かせないと考えている。

①人材の確保

例えば建築教育の現場で、大学の専門課程を修了する学生が、設計の道に進むべきか否かを悩む場面を目にするが、その背景には、彼ら自身の設計能力の問題の他に、建築設計という業種そのものへの不安が見え隠れしている。誤解を恐れずに言えば、ディベロッパーや広告代理店などに対しての下請産業へとシフトしている設計業の現実に、彼らがリアリティを持ち始めているからであろう。

さらに、プロジェクトの上流を担う業種へ身を振ることが、設計の道からドロップアウトしたと感じてしまう、ねじれた風潮が事態をより複雑にしている。設計か企画か、あるいは設計に進んだ場合であっても、アトリエかラージファームかの二元論ではなく、彼らにとってもうひとつの選択肢を用意することで、建築を設計するということが、社会の今後のパースペクティブを指し示す職能と密接な関係にあるということに、リアリティを感じ取ってほしいと考えている。

それゆえ私たちは、建築設計などの専門職が社会の動きに反応し、時宜を得た諸問題に接触する組織を構成することは、良質な人材の知的好奇心を満たす受け皿を用意することと同義だと考えている。

②自己批判回路の作用

専門性に特化することで生じるジレンマ、これを解消する為のネットワークを持久させる為に、互いに意見し合う関係を構築したいと考え、個々の事業体の統括者による相互批評会、ディレクターズコミッティを形成している。

ここでは、組織全体としての中長期的な目標や方向性を共有するだけではなく、個別のプロジェクトの初期段階における方針についても検討を行い、クライアントバリューを高めることを前提に、既存の価値基準を相対化させ、オルタナティブな基準を準備することを意図している。それぞれの専門的視野に準拠した相互批評により提案の強度を高めていきたいと考えている。

状況のマネジメント

3.11以降、地方都市を将来にわたってどう維持していくのかまた、老朽化したインフラや公共施設をどう運営していくのかという問題が切実になっている。一方で、2020年の東京オリンピック誘致が決定し、新国立競技場の計画案がその大きさゆえ、景観的・維持管理的な側面で、東京という都市の今後に、どのような影響を与えるのかが議論されている。これらに共通しているのは、目の前にある既存の施設あるいは都市を、どう将来の既存のものへと計画するのかという、マネジメントに対しての議論である。

私たちは、旧来の右肩上がりの成長モデルを見直し、臨機応変に状況をマネジメントしていく技術を獲得しなければならないのだ。そして、そのような社会的状況に接触するにあたり、そもそも自分達の組織をいかにマネジメントしていくべきかの議論が本来欠かせないはずである。マネジメントすべき状況は外部にも内部にもある。そして、それらの具体的な実践から、明日へ向けての先鋭化したヴィジョンが指し示されるのではないかと考えている。

ビジョン

問題認識について

建築家は建築をつくることにより生まれる空間性により、社会に対して価値の提供を行なってきた。例えば近代以前、ヴィラや教会のように、建築の空間性に発注者の社会的地位や建築的リテラシーが投射され、その価値を利用者が享受するという回路が強固なものとして存在していた。一方、現代社会においては、不動産の証券化やファンドのような集団投資のスキームにより、不特定多数の投資者が金銭を媒介にして建築の価値を享受する、経済主導の社会システムになっていて、建築を取りまく環境は大きく変化している。

つまり、かつて発注者、利用者、そして建築家といった建築に参加する各主体の関係は、分かちがたく結び付き、価値の共有が行なわれていたのに対して、金銭的価値を欲望する主体の出現により、各々の主体が享受する価値の分離が起きているのである。<直接的>に建築の空間性という価値を享受し、主体同士が結びついていた時代であったのに対して現代は、各主体が分離し、金銭を媒介して<間接的>に建築の価値を享受することが可能になった時代であるといえよう。市場原理の支配力が増大する社会的状況の中で、建築家は従来どおり空間性の獲得を第一義に訴えるだけでは、そのプレゼンスを十分に発揮することは困難になりつつある。

自分たちのような若い世代は、このような状況に対して無頓着であってはならないし、対立的に振舞うのも本質的ではない。むしろ、あたりまえのことと受け止め、社会に対して自分たちの構想する建築を接続させるための機会と捉えたい。

筋書きをリライトする

住宅こそが建築の原点であり、住宅の設計で実績を積みながら、いつか公共建築のコンペを勝ち取るのが建築家としての成功モデルである……

公共建築をゴールとした、いわゆる‘建築家スゴロク’といわれる筋書きである。なぜならば、公共建築において発注は行政から行なわれ、その発注の意志は一般市民の声を代理していると解されているからである。つまりここでは発注者と利用者と投資者(納税者)の間で、建築の空間性という価値を<直接的>に享受、共有していた時代の図式が成立していると「されている」のである。

かつて隈研吾は「パドックからカラオケへ」という論考(新建築2006年4月号)において、建築家スゴロクを競馬の本レース出走前のパドックに例えて揶揄し、このパドックシステムが無効化した時に、はたして公共建築のコンペに勝つことだけが公共的な仕事に携わる唯一の手段なのだろうかと述べている。

私たちはこの問いかけに対して、筋書きを自分たちなりに書き換えて、若い世代がパドックを抜け出すキッカケを提示したいと考えている。

公共的な場をマネジメントする

私たちは地域社会に根差す空間をつくる為に、これまで郊外の不動産物件の改修・仲介、シェアオフィスの運営、地方都市の空地利用など、地域での活動に取り組んできたが、それらを通じて事業の収益構造の健康状態を保つことが、空間・建築を自立的に存続させる有効な手段の一つであることを認識した。言い換えれば、収益構造、つまりビジネスモデルをともなえば、住宅というプライベートなものではなく、もっとパブリックな空間をプロジェクト規模の大小によらず、自らつくることが可能になるのである。

「ビジネスモデル」という言葉に嫌悪感を示す建築家は多い。ビジネス=一過性のもので公共的ではないと捉えられる。ここにも<直接的>に建築の価値を共有していた時代のストイックな考え方が潜んでいる。しかし考えてみれば、公共施設において施設を健全に運営する為には、投資された税金の効果的な運用が重要であるのと同様、ビジネスモデルは、建築を安定的に存続させる為に必要なマネジメントの手段なのである。

縮退する社会において、有効なビルディングタイプが既存のビルディングタイプの転用という編集的な視点から生み出される可能性を指摘できるのと同様、有効なビジネスモデルとは、既知のビジネスモデルをどう組み替えるか、という編集的な視点から導かれると考えている。

私たちは設計監理のみならず、企画の立ち上げから施設運営までプロジェクトに包括的に携われる体制を目指し日々活動を行っている。言い方を変えれば、ビジネスモデルとビルディングタイプとの重ね合わせにより建築を安定的に存続させる回路を有すること、またその回路から今後のあるべき公共的な場を構想していくことに他ならない。そして、このような思考を展開させ、地域社会をマネジメントしていくチームにより、今後の社会に向けてパドックから疾走していきたいと考えている。

古澤大輔/取締役, 日本大学理工学部建築学科助教

COMPANY

会社名 株式会社リライト 建築・不動産事業部(通称:rewrite_D)
旧社名:株式会社リライトデベロップメント(2016年3月31日社名変更)
代表者 代表取締役 籾山真人
創業 平成14年9月1日(メジロスタジオ一級建築士事務所)
改組 平成25年10月1日
資本金 JPY 7,000,000
事業内容 建築の企画・設計・監理
地域・都市計画に関する企画・調査・研究
既存建築物の再生(リノベーション・コンバージョン)
不動産物件開発及びその仲介
免許 一級建築士事務所 東京都知事登録 第58703号
宅地建物取引業免許 東京都知事(2)第92647号
加盟団体 一般社団法人 日本建築学会
公益社団法人 日本建築家協会
関連会社 rewrite_C | 株式会社リライト(コミュニティデザイン事業部)
rewrite_W | 株式会社リライト コンテンツ事業部
rewrite_U | 株式会社リライト 都市空間プロデュース事業部
rewrite_K | 株式会社リライト カフェ事業部
rewrite_S | 株式会社リライト シェアードサービス事業部

ACCESS

所在地 東京都新宿区大京町29番地 作道ビル4F
TEL 03-5368-0297
FAX 03-5368-0298
アクセス 大江戸線「国立競技場」駅A3出口より徒歩4分
JR総武線「千駄ヶ谷」駅より徒歩5分

BOARD MEMBER

籾山真人
Momiyama Masato

1976年、東京都生まれ。2000年東京工業大学社会工学科卒業、2002年同大学院修了。2002年アクセンチュア株式会社入社。経営コンサルティング業務に従事。マネージャーとしてクライアント企業の新規事業立上げ、マーケティング戦略の立案などに携わる。2008年に株式会社リライトを設立。2009年にアクセンチュア株式会社を退職。現在に至る。

古澤大輔
Furusawa Daisuke

1976年、東京都生まれ。2000年東京都立大学工学部建築学科卒業、2002年同大学院修了。2002年メジロスタジオ設立、馬場兼伸、黒川泰孝と共同主宰。2010年株式会社リライト参画、2011年建築・不動産部門分社化。2013年日本大学理工学部建築学科助教(古澤研究室主宰)。株式会社リライトデベロップメントとメジロスタジオ一級建築士事務所を業務統合、現在に至る。

福田章
Fukuda Akira

1979年、和歌山県生まれ。2002年日本大学理工学部建築学科卒業、2004年同大学院修了。2004年山崎敬三建築工房勤務。 2007年メジロスタジオに入社し、リライトデベロップメント(現リライト_D)との業務統合を経て現在に至る。

黒川泰孝
Kurokawa Yasutaka

1977年、東京都生まれ。2000年日本大学理工学部建築学科卒業、2002年同大学院修了。2002年メジロスタジオ設立、古澤大輔、馬場兼伸と共同主宰。株式会社リライトデベロップメントとメジロスタジオ一級建築士事務所を業務統合、現在に至る。

受賞歴

                      
2000年第9回東京都卒業設計コンクール銅賞(古澤個人による受賞)
2000年うつくしま未来博「エコファミリーハウス国際設計コンペ」最優秀賞受賞(黒川個人による受賞)
2001年第8回空間デザインコンペティション金賞受賞(古澤個人による受賞)
2004年インテリアプランニング賞2004入選
2007年第2回サステナブル住宅賞 国土交通大臣賞受賞(小泉雅生と共同受賞)
2007年日本建築学会作品選奨受賞(小泉雅生と共同受賞)
2011年SDレビュー2011朝倉賞
2011年日本建築家協会優秀建築選 2011
2012年日本建築学会作品選奨受賞(佐藤慎也/日本大学理工学部と共同受賞)
2015年JCD international design awards 2015 金賞
2015年日本建築家協会優秀建築選 2015
2016年グッドデザイン特別賞[地域づくり]
2017年八戸市新美術館建設工事設計者選定プロポーザル 優秀賞
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