都心に計画されたアートギャラリーを中心とする複合施設である。廃校になった中学校を用途変更し、有効活用することが目論まれた。
既存の塀、プールを解体し、大きなウッドデッキにより隣地と接続させ、隣接する地域公園と一体的に利用できるようにした。校庭の無い都心型の既存校舎を、隣接する公園を校庭に見立て、空地と建物が対をなすティピカルな学校建築へと再生することで、周囲に対して開かれた建物の顔をつくり出している。
公園と連続する1階に主な展示室群をまとめて配し、美術館としての機能を担保させた。ホワイトキューブという漂白された空間と、廃校という時間の堆積した空間とが同居する、用途の更新をダイレクトに翻訳したような空間の質の獲得を目指した。2~3階にはシェアオフィスやアートスクール、地下階にはアーティストスタジオなどが計画された。
今回の計画では、既存建物の妻側にあったエントランスを平側に移し拡張させたわけだが、隣地を巻き込みながら既存建物の向きを回転させることで、再生建築ならではの様々な効用を引き出す事が出来た。学校というビルディングタイプをどう地域に開放するかという問題を、単に用途の問題として処理するのではなく、学校建築のエントランスのあり方の更新という建築的な問題として応答したいと考えた。