東京郊外に計画した4戸の集合住宅である。構造的に自立した9枚のコンクリートの壁に、床や屋根などの水平部材を木造で掛け渡し、明快な構造システムがそのまま外観に表れたデザインとなっている。
9枚の壁は全て同じ三角形のプロポーションで構成している。この形状によって、約2層分の高さのコンクリートの壁を1回の打設でコンクリートを合理的に充填させている。また、それぞれの最高高さを5.5m~7.5mの間で異なる寸法に設定した結果、全体が統合されながらもランダムで多様な印象を与える外観となっている。さらに、住戸の庭を仕切るフェンスのような付加的な役割を与えることで、部分と全体を横断する、多義的に振舞う壁面の連続体を生み出している。
住戸の構成については、これら三角形の壁3枚分、つまり2スパンを1住戸に割り当て、1スパンを多目的に利用できるガレージ、もう一方に居室や水回り、ロフトを納め、スパンごとに機能分担させている。