東京郊外の競輪場の近くに位置する住宅である。開くことが必ずしも心地よいわけではない敷地環境下において、外壁の納まりを外と内とを近しくすることで、外部・内部が連続したような状況をつくり出そうとした。
外壁にちりばめられたライトウォールは、昼夜を通じて外と内に淡い光の表情を与えるのと同時に、その中に点在する黒い小さな窓の輪郭を曖昧にする。黒い窓は周辺の雑多な環境を抽象的な風景としてフレーミングし、ガラスパーテーションに反射し、増殖することで内部空間に広がりを与えている。
廊下としては少し広く、部屋としては少し狭い空間を、短冊状に寄せ集めたようなプランニングとしている。住宅として適するスケールに調整していく作業の、途中段階のような空間の質を目指した。